それほどでもない話があるところ。

ほんの些細なノスタルジー。文章。暇をご用意ください。

2024-01-21から1日間の記事一覧

染め上げた生成り

「今のは、待ったをかけたいですね」 私は、隣人に話しかけた。隣人は本を読んでいる最中だ。いつも本を読んでいる。その本に栞を挟み、閉じた。「聞こうか」と、ひとこと呟いて。 私は、「待った」の理由を話し始めた。 つい先ほど、乗客の一人が客室係にリ…

ある感性の一瞬

「……という花ですよ。お気軽にどうぞ」 花の存在を知っていても、名前が分からない。というのはよくあることだろう。この花に対しての私もそうだ。客室係がサービスをしているこの花の名前が分からない。見渡せば、ほとんどの乗客が買っていた。地域の名産品…